たとえばミーティングの中で、ざーっと何らかの話が雑多に挙げられて、「ああ、そんな感じのイメージ、いいかもね」となって、クライアントや上司から「じゃあそんな感じのを、一度ざっくりまとめてみてください」って言われたとします。普通に受け止めると「あーじゃあ、簡単に話の流れをまとめてみようかな」ってなると思うんですが、それだとまあ、MAXうまくやったとしても55点、って感じですたぶん。
そこで求められているのは、「やっぱそれめっちゃいいじゃん!」となって、「じゃあこの方向でさらに具体的に進めていきましょう…」ってなるレベルの「まとめ」であって、それはもはや「提案」「提案書」に近いものなんですよね。その認識をもって、初めて100点にチャレンジできる権利を得るわけです。
「いいものだよね」と思わせるには「Why」が必要
「提案」するとなると、もっとも重要なことは「これはいいものだ」と思ってもらうこと。そのために重要なのは、「何がイイのか」ではなく、「なぜイイのか」を伝えることです。
例えば「●●なアイデアが出てて、△△なところがいいねっていう話が出てました」というのはただの「まとめ」です。さらに、ここでいう「△△なところがいいね」というのは、あくまで「何がイイね(どこがイイね)」という話にすぎません。「なぜ、△△なところがいいねという話になったのか?」を掬い取ることが必要です。
ミーティングの中で出ていた話から掬えることもありますが、話には出ていない背景や気持ちを想像する必要があることもあります。なにせ「提案」なので、当然こちらからの補足や追記も必要なわけです。単なる「まとめ」だと思っていると、最も抜け落ちやすい視点だと思います。
餃子で例えてみる
例えば、ミーティングの中で「野菜餃子っていいよね」という話が出てたとします。「ヘルシーだし、他の肉餃子と差別化できるし」みたいな話も出てたとしましょう。で、「じゃあ、野菜餃子を一案としてちょっとまとめてみて」と言われたとします。
それを普通にまとめていくと、早々に内容の話に入っちゃいがちです。この流れだと、この後いくら可能性を広げたところで、「薄い」内容になる…という感覚はあるでしょうか。なぜ「薄い」かというと、ここでいう「ヘルシー」とかは、あくまで、「何がイイね」という話にすぎないからです。なぜ、「ヘルシー」であることが良いのか、という根拠に乏しいわけです。
「いやーやっぱ野菜餃子いいよね!それでいこう!」となるには、ここの補強が必要なわけです。例えば、「世間的には健康志向の高まりもあり、ヘルシーな食品が好まれる傾向にあるから」とか、「女性はヘルシー食を好む傾向にあるので、餃子のターゲット層の拡大が見込める」とかね。(適当です)
「やってみよう」と思ってもらうには「How」が必要
「提案」の目的は、「人や組織を動かすこと」です。言い換えると、「やってみようじゃないか」と思ってもらうことですね。そのために最も重要なのは、先述の「いいものだよね」と思ってもらうことですが、そこから「やってみよう」となるには、「こうやったらその『いいもの』ができるんです」という「How」が示されていることが必要です。
もちろん、提案段階で詳細な手順が示されている必要はないんですが、「現実的にできそうだね」と思ってもらうことは最低限必要です。かつ、その「How」が「いいものである根拠(Why)」と強力に論理的に結びついていないといけません。これが意外と見逃しがち。
餃子で例えてみる
例えば、「野菜餃子」が「いいもの」だとして、その理由は「世間は健康食を好む傾向にあり、ヘルシーだから(Why)」だとしましょう。さて、じゃあそれをどうやって実現するか(How)...「じゃがバター餃子」にしましょう!これで「いい野菜餃子」ができます!
…みたいな。まあ何をもって健康食とするかにもよりますが、なんとなく本末転倒感は伝わるかなと思います。確かに「野菜餃子」でありつつも、「世間は健康食を好むから」いいものであるというWhyの部分を消しちゃってるんですよね。
極端な例に見えるかもしれませんが、ふつうによくあります。あるいは、「野菜何使うかは未定です」とかね。それも同じく「健康食である」という「why」を実現できるかどうかが不透明という意味で「提案」としては非力に映ります。
「三方にとっていいもの」であれ
「三方よし」という言葉がありまして。近江商人の言葉で、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三つの「よし」を示す言葉です。上述の「いいもの」であることの説明をする際、この「三方よし」を満たしていること、つまり三方それぞれの「Why」が説明できることを目指しましょう。
餃子における四方よし
😋
食べる人
美味しくて健康的
👨🍳
作る人
作りやすく利益が出る
🏪
売る人
売りやすく評判が良い
🌏
世間
食品ロス削減など
少し言い換えれば、この「いいもの」の提案によって「すべてが良くなる未来を語れ」ということです。「この話ざっくりまとめてみて」という話からここまで大きくなるんかという感覚もあるかもしれませんが、人の心を動かすには常にこれくらいの視野やエネルギーが必要ってことだと思います。そして日頃の「ちょっとしたまとめ」とか「●●やってみて」という軽い依頼も、大なり小なり人の心を動かすことで初めて価値が出るものなので、ちょっとこういう視点を持つだけで結構変わるものですよって思います。